きもの文化検定1級でよく出題される、着物のことわざや慣用句などをまとめてみました。
たくさんあるので、下の目次から気になるところへ飛んでくださいm(__)m
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Contents
袖
袖の梅
江戸時代、吉原名物の酔い覚ましの薬のこと。
袖を引く
人を誘うこと。そっと注意すること。
袖を振る
女性が異性を誘惑すること。または、別れを惜しむこと。
袖褄を引く
異性に言い寄ること。
袖の別れ
男女が互いに重ね合わせた袖を解きはなして別れること。
袖返す
袖を裏返しにすること。こうして寝ると夢に恋人が現れると言われていた。
片袖敷く
独りで寝ること。
袖打ち合わす・袖搔き合わす
かしこまって左右の袖を寄せ合わせること。相手に敬意を表すこと。
袖を絞る
涙で袖を絞る程悲しいたとえ。
袖に時雨る
袖に時雨がふりかかること。袖に涙が落ちること。
袖に露置く
袖に露がかかって濡れること。涙で袖が濡れること。
袖に湊(みなと)の騒ぐ
港に波が打ち寄せて騒ぐように袖に涙がひどく流れること。
袖の海
涙で袖がひどく濡れてしまう程悲しいこと。
袖を連ねる
大勢の人が一緒に行動すること。
袖にすがる
助けを求めること。哀れみを請うこと。
袖の下
賄賂を贈ること。賄賂を袖の下に隠して渡した事から。
袖の上
公に収賄をすること。
袖移し
こっそり渡すこと。
袖から手を出すのも嫌う
非常にケチなこと。
袖の下に回る子は打たれぬ
袖の下に回る子は可愛い・怒れる拳笑顔に当たらず・尾を振る犬は叩かれずなどと同義。
袖触り合うも他生の縁
見知らぬ人と袖が触れ合うのも前世の因縁によること。
花見小袖
花見をする時幕の代わりに張った着物のこと。
無い袖は振れぬ
手元に何も無いこと。
破れても小袖
腐っても鯛と同意語。
貰う物は夏も小袖・いただくものは夏も小袖
欲深い事。
袖から火事
取るに足らない小事から大事が引き起こされる例え。
袖を広ぐ(ひろぐ)
物乞いをすること。
袖乞い
こじきをすること。
幽霊の左袖
中途半端で仕事を終えるのはいけないというたとえ。
袖にする
親しい人を冷たくあしらうこと。
袖を通す
衣服を着ること。初めてその衣服を着ること。
袖に墨付く
誰かに恋い慕われたしるし、または前兆。
小袖料
結納金のこと。主に関西で使われる。
京都では帯地料、関東では御帯料。結納返しとして包むお金は袴料。
領袖(りょうしゅう)
最も目立つ部分であり、肝心なところという意味。
また、主要人物または幹部など、人の上に立つ者や集団の中心人物のこと。
鎧袖一触(がいしゅういっしょく)
相手を簡単に打ち負かしてしまうたとえ。また、弱い敵にたやすく一撃を加えることのたとえ。
人の振り見て我が振り直せ
他人の振りを見て気づかされるということ。
袂
袂を分かつ
仲間と絶交する。
袂落し
袂の形を美しく保つために袖の袂に入れる小石やおもりのこと。
裾
裾もの
下等品のこと。
裾を取る
芸者になること。
裾を捲る・尻を捲る
急にけんか腰になること。居直ること。
裾を肩に結ぶ
てきぱきとした格好で熱心に働く様子。
捌く
複雑な物事を適切に処理すること。裾捌きが語源。
足が出る
予算がオーバーすること。
衿
衿替え
一人前の芸妓、芸者になること。
衿付きが厚い
裕福に見えること。
衿付きが薄い
貧相に見えること。
衿を正す
心を引き締めて真面目な態度になること。
襟を正す
衣服の乱れを正し姿勢を正しくすること。
また、真面目に物事にあたる態度を示すこと。
襟に付く・襟元に付く
金持ちや権力のある人に媚びへつらうこと。
ふんどし
他人の褌で相撲をとる
他人の物で自分の利益を得ること
褌(ふんどし)を締め直す
気合いを入れ直し物事に立ち向かうこと。
褄
左褄
芸者のこと。
辻褄合せ
細かい事柄まで間違いなく筋道を通すこと。
気褄(きづま)を合わす
相手が気に入るように調子を合わせること。機嫌をとること。
帯
帯に短し襷に長し
中途半端なこと。
むしろを着ていても帯は錦
帯の合わせ方次第で着物姿が変わること。
衣
天衣無縫(てんいむほう)
自然で美しくかつ完全である様子。ありのままで飾り気のない人。天真爛漫(てんしんらんまん)と類義語。
濡れ衣を着る
無実の罪のこと。根も葉もないうわさをされること。
解衣推食(かいいすいしょく)
人に恩を施す、人を深く思いやる、人を重用すること。
衣だけでは和尚は出来ぬ
姿形だけでは立派には見えないこと。
衣帯不解(いたいふかい)
非常に専念すること。
衣錦之栄(いきんのえい)
出世した姿を故郷の人に見せること。故郷に錦を飾ると同義。
衣食足りて礼節を知る
生活にゆとりが出来て初めて人は礼儀に心を向ける事ができること。
馬子にも衣装
きちんとした衣裳を着れば立派に見えること。
馬子にどてら
分相応のこと。
浮世は衣装七分
世間ではうわべだけで内容を判断されがちであるということ。
綺羅(きら)、星のごとく
美しい衣装の立派な人たちが居並ぶこと。
三十振袖四十島田
歳に似合わない若作りをすること。
伊達の薄着
沢山着こんで格好悪くなることを嫌がり、寒くても我慢して薄着でいること。
お仕着せ
会社などで決められた制服のこと。
型どおりのものや上から一方的に与えられた仕事や役目のこと。
紋
所を紋に付ける
その土地の人になり切ること。
紋切り型
融通が利かないこと。また、平凡でつまらないこと。
おはしょり
はしょる
省略すること。端折るが変化したもの。
袈裟
大袈裟
必要以上に大きいこと。誇張して言うこと。
裃(かみしも)
裃を脱ぐ
堅苦しい態度をやめ気楽に打ち解けること。
裃を着る
礼儀正しいこと。
白無垢
白無垢鉄火(しろむくてっか)
表面は上品でおとなしく見えるが、実はたちが悪くあくどいこと。
羽織
羽織ごろ
羽織を着たごろつき(一定の住所や職業を持たず、あちらこちらを歩いては他人の弱みにつけこんでゆすり、嫌がらせなどを働く悪者)の意。
紺屋(こうや)
紺屋の白袴
染物を専門としている人が、自分のものは染めることをしないでほったらかしにすること。=医者の不養生。
紺屋の明後日
約束の期限や時間はあてにならないという意味。
糸
下手の長糸、上手の小糸
上手な人ほど仕事に無駄がないこと。
くだを巻く
酒に酔った人がとりとめのないつまらない話をくどくどとする様。
真綿に針を包む
表面は優しいが、内面は意地が悪く敵意を抱いていること。
糸目を付けない
物事をするのに何の制限も加えないこと。
共白髪、友白髪(ともしらが)
長寿と夫婦円満の象徴。婚礼の印に取り交わす、麻糸を束ねて白髪に見立てた品物のこと。
糸を引く
裏で指図をして他人を操ること。何かの影響などが長く続いて絶えないこと。
手繰る(たぐる)
ひとつひとつ元へたどるという意味。
糸口・緒(いとぐち)
物事の手始め、手がかり。
よりを戻す
元通りの関係に戻すこと。
快刀乱麻(かいとうらんま)を断つ
複雑にこじれた問題をあっさりと解決すること。
その場を繕う(つくろう)
見かけだけ体裁よく整えたり、上手に言い訳をしてなんとか逃れること。
綯い交ぜ(ないまぜ)
あれこれ混ぜ合わせて一つにまとめ上げること。
断機の戒め(だんきのいましめ)
物事を途中でやめると何にもならないという戒め。
脱ぐ
一肌脱ぐ・片肌脱ぐ
本気になって他人のために力を貸すこと。
諸肌(もろはだ)を脱ぐ
全力を尽くして事にあたること。
履物
足駄を履いて首っ丈
相手に惚れて夢中になること。
下駄を預ける
相手に物事の処理や責任などを一任する。
下駄を履くまで
最後の最後まで。物事が終わるまで。
下駄を履かせる
価格を高く偽ったり、水増しして実際よりも多く見せること。
草鞋銭(わらじせん)
わずかなお金。わずかな旅費。
肩
肩身が狭い
他人に対して引け目を感じ、世間に対して面目が立たないことやその場にふさわしくないこと。
肩を入れる・肩を持つ
加勢すること、味方すること。
笠
笠に着る
権勢者の後援を頼りにして威張る、自分の権威を利用して他人に圧力をかけること。
冠
お冠
目上の人の不機嫌な様子。
冠を曲げる
機嫌が悪いこと、不満があること。
懐
懐手(ふところで)
自分では何もせず人任せな様子をいう。
懐が深い
おおらかで包容力があること。
懐を痛める
自分の持ち金を使うこと。
その他
箔が付く
値打ちが高くなる、評価が上がるという意味。
大童(おおわらわ)
戦国時代の武士の髪型が由来。力の限り奮闘、活躍すること。
横紙(よこがみ)破り
無理を知りながら自分の考えを押し通そうとすること、またそのような人のこと。
横車を押すと同義。
要領
物事の基本となる最も重要な部分。
襤褸(ぼろ)が出る
隠していた欠点や短所があらわになること。
しみったれ
物惜しみすること、ケチケチしていること。
被く(かずく)
損害や負担などを引き受ける、騙されるということ。
粉飾
うわべを取り繕って立派に見せかけること、実状を隠して見かけを良くすること。